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意見募集

国民民主党は、第27回参議院議員選挙で掲げる政策各論を、党の仲間たちにチェックしてもらいます。

はじめに

国民民主党は、第27回参議院議員選挙に向けて政策各論を作成中です。従来の政策の審議に加えて、今回は2段階の作業を加える方針にしました。

  1. 政策各論の草案に対し、ここまでこくみんAIプロジェクトで寄せられた意見60,000件超えの意見全てに対し、AIによるスコアリング判定で、十分応えることができているか確認すること

  2. スコアリング判定を受けてアップデートしたものを党の仲間たちに確認してもらうこと←今ココ!!

完成していない政策各論を公開するのは、今までの政治では考えにくいことでした。しかし国民民主党は、国民に対しオープンな政党として草案を公開し、これからの答えをみなさんと共に作ってまいります。

ぜひ既に取り組んでいるにも関わらず書けていない「抜け漏れ」などをみなさんでチェックしてください!

※ 投票プラットフォームを活用しておりますが、今回は意見募集ということで草案に対し、意見をテキストベースでいただく形式を採用しております。

政策各論 草案

今の日本には、「手取りを増やす」ための政策実現が必要です。2025年の賃金上昇率は、2年連続の5%台と大幅に伸び、中小企業での伸びも目立ちはじめました。他方、物価上昇率は2%台前半の見込みです。この流れを止めることなく、1996年をピークに長期的に下がり続けている実質賃金を上昇に転じさせ、「令和の好循環」をつくり、日本経済を盛り上げ、10年後の2035年における名目GDP1000兆円実現をめざします。

政府が財政難を強調し、支出を絞り続ければ、医療等各分野や社会インフラの破綻、さらなる消費停滞を引き起こす可能性があります。財政健全化目標を見直し、名目賃金上昇率が一定水準(物価上昇率+2%=当面の間5%)に達するまで、積極財政等と金融緩和による「高圧経済」によって為替、物価を適切に安定させ、経済低迷の原因である賃金デフレから脱却します。それまでの間、増税や社会保険料アップ、給付削減などによる家計負担増は行いません。「大規模、長期、計画的」な産業政策と、消費力を高める「家計第一の経済政策」により、分厚い中間層を復活させます。トランプショックによる経済の影響を勘案し、内需の拡大、そのための減税政策、手取りを増やす政策を実現しなければなりません。また、2年連続の高水準の賃上げの流れが、地方や中小企業まで行き届き、だれもが手取りが増えた実感の持てる経済をつくります。

現役世代の給料が上がれば年金も上がります。現役世代の納める保険料が退職世代の年金に充てられる仕組みになっているためです。年金を上げるためにも給料が上がる経済を実現する必要があります。

手取りを増やす経済の実現

1「令和の所得倍増計画」

「未来志向の積極財政」と金融緩和で消費や投資を拡大させるとともに適正に価格転嫁できる環境を整え、持続的に物価を上回る賃金アップを実現します。また、減税、社会保険料の軽減、ガソリン代・電気代値下げなど生活費の引き下げにより、「消費」を喚起します。

成長分野(AI、半導体、Web3.0、蓄電池、宇宙、ロボット、暗号資産、医薬品、介護・医療)への投資減税等を行い、日本経済を強くし、持続的な成長に繋げます。

(1)「消費」の拡大

❶介護職員、看護師、保育士等の給料倍増

特に、公定価格が給料決定に影響を及ぼす介護職員、看護師、保育士等の方々については10年で地域の実情を勘案しつつ給料を2倍にするとともに、地域手当の見直しを行います。処遇改善加算等は対象者に直接給付します。現在対象とされていない介護従事者については対象を拡大します。

❷初任給倍増

初任給を大幅にあげて「初任給倍増」を早期に実現し、若い世代に所得増加で経済的ゆとりを生み出し、経済的に婚姻できない状況を改善するとともに、非婚、未婚、ひとり親を選択した場合でも、子育てを応援できる環境を整えることで少子化対策にもつなげます。

❸所得税減税

所得税を課す最低金額の引き上げ等を行い、賃金上昇に伴う名目所得の増加によってより高い所得税率が適用され、賃金上昇率以上に所得税の負担が増える「ブラケット・クリープ」に対応します。具体的には1995年からの最低賃金の上昇率1.73倍に基づき、基礎控除等の所得要件を撤廃するとともに178万円に引き上げます。物価上昇を踏まえ、通勤手当の所得税非課税枠を引き上げ、社会保険料の算定基礎から除外します。また、単身赴任手当については非課税にします。

❹消費税減税等

現役世代の社会保険料を負担軽減(年齢ではなく負担能力に応じた原則 2 割の窓口負担、公費負担増、保険診療と自由診療範囲の見直し、第 3 号被保険者制度見直し、年金保険料納付期間延長等)します。物価が上がり景気が低迷するスタグフレーションに陥らないため、賃金上昇率が物価+2%に安定して達するまでの間、増税や社会保険料アップ、給付削減などによる家計負担増は行わず、消費税減税(10%→5%)を行います。

中小事業者、個人事業主及びフリーランス事業者の負担などを踏まえ、インボイス制度は廃止します。

❺若者減税

若者減税(所得税•住民税を減免)を導入し、働く若者をサポートします。2024年の日本の出生数は72万988人で、過去最少となりました。これは、前年比5.0%減であり、9年連続で過去最少を記録しています。結婚後に出産という意識がある我が国において、結婚、出産を後押しするため、初婚年齢が男性31.1歳、女性が29.7歳であることに鑑み、30歳までの経済的負担を軽減するための減税を行います。

❻ガソリン減税等

ガソリン暫定税率の廃止によりガソリン・軽油価格を値下げします。また、クリーンエネルギー自動車購入促進補助金を補強します。

特別高圧を含む電気代・LPガス料金等の物価高騰対策を継続するなど、エネルギー関連補助金等を拡充して灯油や重油、航空機燃料、LPガスなどの価格対策を進めます。電気代の高騰が続く中で、家計負担を軽減するため、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の徴収を一定期間停止あるいはキャップ制を導入することで電気代の負担増加を抑制します。また、省エネ家電購入支援、省エネ住宅購入・ZEH化支援※、断熱リフォーム支援など、省エネ住宅支援策を拡充します。

※ZEH…netZeroEnergyHouseの略、消費エネルギー量を実質的にゼロ以下にする家

地方創生臨時交付金により、夏季の水道料金を減免します。

❼「命の口座(仮称)」創設

給付(負の所得税)と所得税の還付を組み合わせた新制度「給付付き税額控除」を導入し、尊厳ある生活を支える基礎的所得を保障します。マイナンバーと全銀行口座のひも付けなど、所得と資産を月次単位で把握できる政策インフラを整えます。「命の口座」を登録し、災害や感染症まん延時などの際、必要な手当や給付金が申請不要で迅速かつ自動的に振り込まれる「プッシュ型支援」を実現します。

職業の違いによる税制の不公平の是正、確定申告の機会拡大の観点等から、給与所得控除等を見直しつつ、サラリーマンの諸手当の非課税対象拡大を行うとともに、自動車の任意保険料等について特定支出控除の対象とすることを検討します。

❽賃上げ支援

サラリーマンやフリーランスの方が貯金や長期投資で資産形成できる所得水準を実現します。最低賃金を引き上げ、「全国どこでも時給1150円以上」を早期に実現します。中小企業支援の強化で最低賃金の大幅な引き上げを実現します。「年収の壁」の解消にも取り組みます。

中小零細企業の賃上げの原資のために賃上げ引当金の制度の創設を行います。

❾政労使合意の締結

構造的な賃上げに加え、「生産性三原則の確認と周知強化」に向けた政労使合意の締結をめざします。「労働者」は物価上昇分を含め、正当な賃上げ要求を行います。「使用者側」は賃上げ等を実現し、適正に価格に転嫁します。「政府側」は所得の継続的な上昇に向けて適切な政策を行います。賃上げ幅の開示を義務付けるとともに、都道府県政労使会議を継続的に開催します。

❿賃上げ減税の拡充

税額控除額の引上げ等、賃上げ減税を拡充します。価格転嫁等の取引条件改善企業等に減税します。

⓫年末調整制度の見直し

年末調整制度は事業者の事務負担が小さくありません。納税者の意識醸成のためにも、年末調整制度を見直し、全員確定申告制度導入も視野に検討を進めます。

(2)「投資」の拡大

長期低迷する日本経済を動かすため、「人への投資」、デジタル化、カーボン・ニュートラル対策、先端テクノロジーへの投資、インフラ整備、スタートアップなど、「未来への投資」を積極的に行います。人口が減っても経済成長する「強い日本経済」をつくります。

「大規模、長期、計画的」な産業投資を行い、PDCAを回しつつ、生産性向上を実現します。「小規模、短期、場当たり的」だったこれまでの財政出動を転換します。

❶「人への投資」(詳細は3「人づくりこそ、国づくり」)

❷産業の成長に資する規制改革の推進

中長期的な技術革新や、産業の成長と競争力の向上を促すため、国の規制改革に関して、中小企業においても一層の効率化が促進されるよう、規制の影響の定量的な評価による見える化を進めます。

❸第4次産業革命

世界で進行中の第4次産業革命(量子コンピューター、IoT、ブロックチェーン、ロボット、AI、ビッグデータ、自動運転等の多岐にわたる技術革新)については産官学・中小企業と大企業・国内外の企業家など異分野のプレーヤー同士を結び付ける手法(オープン・イノベーション)を積極的に活用し、日本発の「世界で戦える産業」を育成します。同時に国の研究開発のあり方を質・量ともに変革します。研究開発への補助金をさらに増やし、ITやIoT分野(特に、ソフトウェア、サイバーセキュリティ等)の予算を重点的に拡充します。また、交通事故の削減、高齢者等の移動支援や渋滞の解消などに資する自動運転の実現に向けて、特定条件下における完全自動運転(レベル5)を可能な限り早期に実現します。その実現に向け、道路の高度化の基準を作るとともに、交通ルールを変更・整備することにより、安全な交通社会の推進に取り組みます。あわせて、産業のグローバル競争力強化のための、国際標準化に向けた取り組みを国策と位置付け、推進します。

❹カーボン・ニュートラルの促進 

デジタル化、カーボン・ニュートラル(CO2排出量の収支実質ゼロ化)を長期的、計画的に促進するためグリーンイノベーション基金事業を見直し「DCN基金」(仮称)を創設しまへの投資を加速するため、取得額以上の減価償却を認める「ハイパー償却税制」を導入するとともに、価格転嫁の促進を図ります。

カーボン・ニュートラルの実現に向けて、過度な負担により産業競争力を低下させることを避けつつ、あらゆる部門(エネルギー・製造・運輸・民生)における省エネ化や電化の促進をはじめとする技術革新と社会実装によるイノベーションを推進します。とりわけ、カーボンプライシングの実施にあたっては、円滑かつ適正な価格転嫁を確保することを通じ、広く社会で公平・公正な負担となるよう努めます。また、非電力分野のうち自動車については、「自動車産業脱炭素化推進法」により、研究開発・実用化及び導入促進のための誘導政策を実施します。また、Jクレジットの有効活用を進めます。

●ディープフェイク規制法(仮称)の制定

国際的な連携のもと、技術革新と人権・民主主義のバランスを確保しつつ、AIで生成された偽の画像、映像、音声などのディープフェイク被害から国民を守る実効性ある法制度の早期整備をめざします。また、無断AI学習や見たくない広告が配信される課題について、表現の自由に抵触しない範囲において、受信や利用を拒否するオプトアウト権の検討など、データの自己監督権に関する議論を進めます。

●ソサエティ5.0の実現 

先端技術を、物流や介護など、あらゆる産業や社会生活に取り入れ、誰もが快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる人間中心の社会「ソサエティ5.0」を実現します。そのために、データ基本権の制定をはじめとしたデータ流通・利活用環境の整備や、サプライチェーンや中小企業も含めたサイバーセキュリティの強化を進めます。

❺総合的な物流交通網整備

鉄道、内航、航空などの各モードへの移行や最適な利用を推進し、国が主導した持続可能な全国物流ネットワークを構築します。物流DX や物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化、2024年問題などによる労働力不足への対策や物流構造改革の推進を推進します。

❻暗号資産の投資環境整備暗号資産を雑所得として総合課税するのではなく、申告分離課税(税率20%)とし、損失繰越控除(3年間)を適用する、②暗号資産同士の交換時は非課税とする、③レバレッジ倍率を2倍→10倍に引き上げる、④暗号資産ETFの導入など、暗号資産に関する税制と規制を見直し国内の取引環境を整えます。

❼印紙税の廃止

印紙税は電子決済等の技術革新や社 会のデジタル化に逆行する制度であり、廃止します。

❽分散型エネルギー社会の構築

❾新幹線網の整備促進

整備新幹線の着実な整備と基本計画路線整備及びフル規格での整備を見据え、具体的対応を推進します。リニア中央新幹線については、地元の合意を得るとともに自然環境への影響など課題に取り組み、早期整備を図ります。

❿高速道路網の整備促進と料金改定

高速道路料金について、補修費や建設費も考慮に入れながら、償還期間や金利を実態に合わせて見直すこと等により、上限設定(定額制)など新たな料金体系を検討します。また、スマートインターチェンジ等の簡易な出口を多く設置し、利便性を向上させます。ETC2.0の利用促進による地域集客施設と連携した高速道路の有効利用を進めます。

⓫自動車の負担軽減

自動車重量税は廃止することを前提に、まずは「当分の間税率」を廃止し、自動車重量税の国分の本則税率の地方税化を進めます。環境性能割は、旧自動車取得税の付け替えであることから廃止します。自動車税は、新車・既販車に関係なく、現在の営業・貨物・軽自動車の負担水準を基準とした税体系に改革します。ただし軽自動車が地方の重要な交通手段となっている現状に鑑み、十分な配慮のうえで検討を行います。ガソリンや軽油の本則税率に約50年間も上乗せされている「当分の間税率」を廃止し、国分の本則税率の地方税化を進めます。また、消費税との二重課税問題を解消します。

自動車が生活必需品となっている地方のユーザーに大きな負担増となる、走行距離課税は導入しません。また、電動車普及の足かせとなるEV、FCVに対する税収確保ありきの増税は行わず、カーボン・ニュートラル実現に向け、国産の電動車普及促進を継続的に実施します。

⓬自動車盗難対策

自動車などを中心とした窃盗についての対策の実施と早期の被害回復を図るため、「自動車盗難対策法案」の成立をめざします。併せて、「組織犯罪厳罰化法」を制定することで、組織的な犯罪の厳罰化や、証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度(日本版司法取引)の対象拡大を行います。

⓭交通安全対策

自動車などの死亡事故から尊い命を守るために、技術開発を支援するとともに、歩車分離信号、横断歩道等の整備などインフラ面の整備を推進します。また、子どもや妊婦をはじめ、シートベルトの正しい装着方法の周知や啓発活動を推進します。

⓮自動運転

完全自動運転の巡回バス・乗用車・船舶を実用化し、地域公共交通システムを構築するスタートアップ企業を優遇します。

地方における移動手段の確保をはじめ交通事故の削減、高齢者等の移動支援や渋滞の解消などに資する完全自動運転(レベル5)を早期に実現します。その実現に向けた技術開発や道路の高度化に投資し、安全な交通社会の推進に取り組みます。

⓯知的財産戦略の推進

特許や著作権など、知的財産を守り積極的に活用するため、国際的な知的財産戦略を推進します。また、國酒をはじめとする日本の食文化やアニメや漫画、デザインなどのコンテンツ(クールジャパン)を海外に積極的に展開し、ソフト分野でも稼ぎ、雇用を増やす産業構造をつくります。

(3)「中小企業・非正規賃上げ応援10策」

【中小企業・非正規の賃上げ原資を確保する】

❶社会保険料負担軽減

中小・中堅企業に、新規正規雇用の増加に係る社会保険料事業主負担の半分相当を助成し、正規雇用を促進するとともに、低所得者等の社会保険料負担を軽減します。

❷消費税減税・インボイス廃止

❸ガソリン代・電気代・ガス代値下げ

❹賃上げ減税拡充

賃金を上げた場合、法人税の減税だけでなく法人事業税、固定資産税や消費税の減税で支援します。中小企業の継続と発展を支えるため、人材確保や事業承継を支援するとともに、下請法の適用拡大など下請け保護制度を強化します。技術伝承の支援を行いながら、事業承継税制の恒久化及び納税免除措置の創設を行います。少額減価償却資産特例の上限額を引き上げます。また、民法の債権法を是正し、事業向け融資に関する第三者保証を禁止します。賃上げ幅の開示の義務付けを行います。都道府県政労使会議を継続的に開催します。

❺医療・介護・保育従事者等の賃上げ

【中小企業・非正規の賃上げを制度で支える】

❻適正な価格転嫁

不公正な取引慣行を改善します。公正取引委員会の「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の産業界への周知・浸透、厳格な履行、悪質事例・好事例の公表を行います。運送業に係る「標準的な運賃」を確保した荷主への税優遇を行います。

商品やサービスの価値に見合った価格で購入する経済活動への転換をめざし、賃金や原材料・エネルギーコストの上昇分を価格転嫁につなげられる実効性ある取引環境の整備を行います。

無形知財を適正に評価する仕組み(下請けの利益を吸いあげない、マージン取得に制限を設ける仕組み)の導入などにより、大企業が資源価格高騰、人件費上昇の負担を中小企業に強いることがないようにします。人材選別が厳しすぎるために、高い有効求人倍率が雇用促進につながらない構造を是正します。

❼農林水産分野の支援拡充

農林水産分野の適正取引を推進し、農業者に対する食料安全保障基礎支払を実施します。

❽下請法、フリーランス新法及び独占禁止法の実効性強化

下請法の適用拡大(資本金3億円以下から1千万円超)を行います。下請法・独禁法の罰則、優越的地位濫用の課徴金強化、公取等の取締強化、不適切事例公表・改善を行います。

適正な価格転嫁を支援するとともに下請Gメン、トラックGメンを増員し取引の実態把握を加速させます。運輸業や建設業の「2024年問題」や構造的課題の確実な解決に向け、改正物流関連2法や改正建設業法を着実に実行するとともに、下請業務委託の再々委託までの限定等多重下請け構造の是正、適正取引推進等商慣行の見直しを行います。

加えて、2024年に施行されたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)に基づき、フリーランスや個人事業主を含む取引全体の公正性を確保します。フリーランス新法の趣旨を踏まえ、発注側による報酬の遅延・不払い、契約内容の不明確化、ハラスメント等の不当な取引慣行の是正を徹底し、下請法と同様に公正取引委員会等による監視・指導体制を強化します。

❾人手不足対策・育成支援

資格取得等(大型一種、二種免許等)につながる教育訓練給付の更なる拡充、企業内の人材育成を図る若手・中堅の教育プログラム作成、社会人が仕事と学びを繰り返しながらキャリアを形成するリカレント教育、リスキリング等への支援を行います。

❿「年収の壁」対策

「年収の壁」の解消に向け、本質的な課題(働き方に中立的な社会保障制度への転換を踏まえた第3号被保険者制度の見直し、配偶者控除の見直し、配偶者手当の見直し、家庭内ケア労働支援、性別役割分業等)への対策を行います。

(4)「未来志向の積極財政」と財源の多様化

消費や投資を拡大させ、持続的に物価を上回る賃金アップを実現するため、「未来志向の積極財政」に転換します。そのため、「教育国債」の創設、日銀保有国債の一部永久国債化などにより、財源を多様化し、確保します。また「減価するデジタル通貨」などについても検討を進め、財源の多様化とともに金利やインフレを抑制する新しい財政コントロールのあり方を追求します。格差是正の観点から、富裕層への課税を強化します。

「外為特会見直し法案」の成立をめざします。外貨準備資産の額がG7の他国の数倍規模となっている現状に鑑み、①外貨準備資産の額の適正な水準について検証を行うこと②適正な水準を超える額を有効に活用できるようにすること③資金の運用方法を多様化することの方針に基づき外為特会の在り方を見直します。「GAFAM」と呼ばれる巨大IT企業などがビジネスを展開し、利益を上げている国でほとんど納税していない実態を踏まえ、国際社会と協調して課税を強化していきます。

2 年金が上がる経済

現役世代の給料が上がれば年金も上がり、高齢者の方の手取りが増えます。現役世代の納める保険料が退職世代の年金に充てられる仕組みになっているためです。年金を上げるためにも給料が上がる経済を実現する必要があります。

(1)給料が上がる経済
(2)年金制度改革と経済財政推計を行う独立機関設置

世代間公平とともに最低保障機能を強化した新しい基礎年金制度への移行を検討し、現役世代、将来世代を支えます。持続可能で安心な年金制度を設計するためにも、経済財政の将来推計を客観的に行い、統計をチェックする「経済財政等将来推計委員会」を国会に設置します。モデル世帯前提の議論を止め、第3号被保険者や配偶者控除の見直しを進めます。また、個人単位を前提とした議論を行います。

推計を踏まえ、法人課税、金融課税、富裕層課税も含め、財政の持続可能性を高めます。

所得再分配機能回復の観点から、金融所得課税の強化を行います。高所得者層は金融資産から所得を得ている割合が多く、所得税負担率は1億円超から急激に下がっています。一般の家庭が少しでも余裕を実感できるようにする一方、富裕層には応分の負担を求め、そのお金を社会に還元します。NISA等の非課税制度の拡充により、家計の金融資産形成を応援します。

(3)個人年金の掛け金、国が半分(同額)出します制度

低中所得者は個人型確定拠出年金(iDeCo)により毎月掛金を拠出して老後の資産を形成することが難しい現状となっています。そこで、本人(上限月間1万円・年間12万円)が拠出すれば国が同額を拠出する、低中所得者の老後の資産形成を支援する制度を新たに導入します。例えば、本人が毎月1万円拠出する場合、あわせて国が同額の1万円を拠出することで毎月2万円の拠出となります。運用年率3%の40年間運用で計算すると約1,800万円の資産が形成されることになり、いわゆる老後2,000万円問題にも対応できます。

自分の国は「自分で守る」

自分の国は自分で守ります。新たな感染症、気候変動や南海トラフ地震等による自然災害や食料危機、厳しさを増す国際環境など、様々な危機を「想定外」とすることなく、経済、エネルギー、食料、防衛等を含めた広義の安全保障政策に万全を期し、国民と国土を守り抜きます。国民生活や産業に必要な物資が過度な外国依存とならないよう、「総合的経済安全保障法案」の成立をめざします。

1 防災・減災対策強化

(1)安心・安全な防災インフラの整備

毎年のように大規模な自然災害が発生し、多くの命が奪われていることから、「社会資本再生法(仮称)」を制定し、公共インフラの整備防災対策状況や半島防災、半島復旧・復興の課題を早期に点検し、円滑な維持管理、老朽インフラの計画的更新を進め、安全性・防災性と効率の向上を実現します。また、激甚化する自然災害に対する「災害ゴミ対策」に早急に取り組みます。防災拠点となる施設のインフラ等の悉皆調査を国が関与し大規模計画的に行い、防災・減災に万全を期します。盛土規制法に基づく規制区域の指定等による災害発生の予防に努めます。

令和7年度末に期限を迎える「緊急防災・減災事業債」を延長する等、特に地方の防災・減災対策をしっかりと継続的に支援します。

(2)防災に携わる人的インフラの整備

防災士等の防災人材育成、防災拠点となる施設のインフラ等の悉皆調査を国が関与し大規模計画的に行い、防災・減災に万全を期します。消防団等の既存組織との連携、非常用電源設備や公衆無線LAN設置、防災衛星電話設置等を進めます。防災士等の防災人材育成に努め、国主導で防災士の活用場面などのガイドラインを策定し、周知します。

また、災害等への対応を強化するため、衛星データやドローン技術を活用した各種情報やデータを自治体と早期に共有し、災害対応に活用できるように取り組むとともに、被害が起きてからの対処のみならず、予防的な施策にも積極的に取り組みます。企業や自治体などの事業継続計画の策定支援、帰宅困難者対策などを進めます。地区防災計画や個別避難計画の策定などを進めます。救援物資の物流を確保する施策や物資管理方法の計画に地方自治体と連携して取り組みます。所有者不明土地の解消へ向けた対応も進めます。

盛土規制法に基づく規制区域の指定等による災害発生の予防に努めます。

(3)災害時のデマ情報対策

防災アプリ等を活用してできるだけ正しい情報が提示されるようにすることで、災害時においてSNS上で発生するデマ情報への対策に取り組みます。過去の災害でも発生したインプレッション稼ぎのデマ情報に適切に対応できるよう取り組みます。

(4)熱中症対策

公共施設、商業施設等の冷房設備を備えた「クーリングシェルター」の指定促進と周知、熱中症警戒アラートのわかりやすい発信と高齢者等への周知、学校内及び登下校や部活動等での予防対策を徹底します。

(5)都市型災害ケースマネジメントの構築

タワーマンションの集積、大規模な地下鉄網、希薄な地域の繋がりなど大都市固有の課題に対しても対策を講じます。

(6)災害対応の強化

災害等への対応力を強化するため、防災拠点となる学校等の公共施設へのエアコン、自家発電機・蓄電池、防災無線等の整備を行います。また、各種情報やデータを自治体と早期に共有し、災害対応に活用できるように取り組むとともに、被害が起きてからの対処のみならず、予防的な施策にも積極的に取り組みます。衛星インターネットの利活用を含め、防災DXを積極的に進めます。避難所における女性、子どもの人権侵害を防止するための啓発活動を支援します。

(7)未整備区間の解消とリダンダントな(冗長性のある)物流網の整備

大規模災害時に物流・人流がスムーズに行われ避難や被災地支援が迅速に行われるよう、高規格道路のミッシングリンク(未整備区間の)解消や高速道路の二車線区間の解消、災害時に高速道路の代替となるリダンダントな(冗長性のある)国道網の高規格化を促進します。災害対応にあたり、物流にとって必要となる地方の鉄道路線については、リダンダンシー及び安全保障上の観点からこれを維持します。

(8)上下水道管の更新・長寿命化・耐震化、無電柱化の促進

老朽化配管が原因とされる道路陥没事故が日本全国で起きているように耐久年数超の配管の点検と更新は喫緊の課題です。南海トラフ地震の被害も想定される中、耐久年数超の配管や未耐震化配管がある現状から、早急に国の予算で上下水道管の点検と更新を含めた耐震化を進めます。漏水による無駄や耐震化設備での利用者負担を軽減することが可能となり、将来的な水道料金値上げも抑制できます。併せて、無電柱化を促進します。

(9)国土柔軟化政策

温暖化による水害多発時代を踏まえ、ダムなど施設だけに頼らない、土地利用配慮や森林保全、避難態勢づくりを含む「流域治水」を国・自治体・企業・住民等が連携して進めると同時に、生物多様性を埋め込んだグリーンインフラを増やす国土柔軟化政策を進めます。

2 発災時の迅速な対応

(1)「命の口座」の新設とプッシュ型支援

新設する「命の口座」に登録することで、災害や感染症まん延時などの際、必要な手当や給付金が申請不要で迅速かつ自動的に振り込まれる「プッシュ型支援」を実現します。

(2)道路、河川、港湾、鉄道等の復旧

降雨のパターンが変化している中、道路や河川(水門インフラ等)、港湾、鉄道等の復旧については、確実にこれを行い、被災時には単に元に戻す原形復旧を行うだけでなく、事前防災や再度災害防止の観点を入れたものとします。また、道路などについて新たなミッシングリンク(寸断)が生じることがないようにします。とりわけ、近年多発する河川の氾濫に対処するため、重点的に河床掘削や河道掘削、しゅんせつを行います。また、鉄道等の復旧についても、公共交通の一翼を担っていることに鑑み、民間任せではなく、国の災害復旧事業としてしっかりと後押しをします。

(3)安全な被災者生活空間の迅速な確保

大震災等発災時には、旅館・ホテルなどの民間施設を借り上げた際の避難期間等を弾力的に運用します。インスタントハウスやみなし仮設住宅の充分な確保(広域での空き家住宅・賃貸住宅の借り上げ等による住宅確保)をより迅速に実施します。LPガス等を活用した動力源の分散化も検討しつつ、避難所となる体育館のエアコン設置を進めます。災害に便乗した犯罪行為に対する治安維持対策を強化します。

(4)災害復旧・復興支援税制の創設

被災地支援のボランティア活動を促進するため、自己負担分について税額控除を可能にします。また、近年、大きな災害が多発していることを踏まえ、生活再建をめざす被災者の税負担をできる限り減免するため、「災害損失控除」を創設します。

(5)地域防災力の強化

地域防災や広報を担う消防団員、自主防災組織の処遇改善、防災資機材の整備を推進します。

(6)被災地の復興

復興の加速のため、「災害弔慰金支給法改正案」、「東日本大震災復興特区法改正案」、「土地等処分円滑化法案」、支援金の要件緩和や増額を行う「被災者生活再建支援法改正案」を成立させます。

東日本大震災、能登半島地震等のこれまでの災害復興支援を継続します。激甚災害の適用地域については自治体による復興費の軽減を行います。被災地のコミュニティ、産業などの復興を支援します。また、被災家屋の公費解体の手続きの簡素化と迅速な対応をめざします。

「科学技術への投資」を行い、東北発・国際的科学研究都市として世界をリードしていきます。次世代の科学技術・産業・雇用・地域振興の土台づくりとするため、国際リニアコライダー(ILC)の早期誘致をめざします。

(7)東日本大震災からの復興・再生

福島の復興・再生は今後とも最重要課題であり、「復興と廃炉の両立」に向け、東京電力福島第一原子力発電所の着実な廃炉、風評被害対策、適切な賠償等を進めるため、あらゆる政策手段を投入します。こうした取り組みを通じ、被災地の復興と産業発展に向けて、東日本大震災によって残された多くの課題に全力で取り組みます。

3「総合的な経済安全保障」の強化

食料、エネルギー、医薬品、医療機器、人材、文化等を含む「総合的な経済安全保障」政策を推進します。政府一体となった戦略を策定し、日本の課題解決に取り組みます。

(1)国内調達の拡充

食料・エネルギー・医薬品・半導体等の国内調達を拡充します。基本的な生活物資や諸物資の他、レアメタル等の重要鉱物について海外依存をできる限り低減し、自立したサプライチェーン(供給網)によって富の海外流出を防ぎながら国と地方を守る「給料が上がる経済システム」を構築します。AIや次世代通信規格6G、ドローン、半導体や量子技術などは軍事転用可能な技術であることから、これらの技術の流出や、外国資本による技術保有企業(中小・中堅企業を含む)の買収を的確に把握、規制するため、必要な法整備を進めます。

❶国民の命と生活を守る医薬品や医療機器の安定供給確保

後発医薬品の安定供給を図るとともに、我が国における新薬創出を促進するため、中間年薬価改定を廃止し、経済成長率を踏まえた新たな薬価改定ルールを策定します。そのため、中央社会保険医療協議会の構成を見直し、医薬品関連業種の代表者を加えます。

また、革新的新薬へのアクセス確保とドラッグ(デバイス)ラグ・ドラッグロス改善のため、欧米と比較して相対的に低い新薬収載時の価格算定方式を見直すとともに、特許期間中の価格を維持する制度へと見直します。さらに、市場拡大再算定制度については、新たなエビデンスや使用実態、想定患者数等を踏まえた市販後のイノベーションを再評価できる仕組みへと見直し、とも連れルールは不合理かつ予見性を損なうことから廃止します。

安定供給の観点からは、供給不安に陥っている医薬品等について増産に向けた支援を行います。また、不採算に陥ることのない価格下支え制度、急激な物価高騰に対応できる制度を構築します。終わりの見えない供給不安に終止符を打つために、医療機関と医薬品卸売業の取引における商慣行を変革すべく医薬品流通改善を促進します。医薬品メーカーの生産・在庫・出荷状況等を一元管理するデータベースを構築します。

❷イノベーション創出環境の整備

優れた医薬品や医療機器を世界に先駆けて生み出すために、「社会課題(公的医療介護費、生産性損失)の解決につながるイノベーション」や「世界に先駆けて生み出されたイノベーション」、「医療の質の向上や医療の効率化に資するイノベーション」を積極的に評価します。また、世界をリードするイノベーションの多くがベンチャーやアカデミアから生み出されていることを踏まえ、世界中から投資、技術、人材を呼び込み、かつ多様な人材が力を発揮する雇用の場として機能する創薬エコシステム・イノベーション拠点を構築します。また、研究開発現場は、治療手段(モダリティ)の多様化、AIやIoT技術の進展に伴い複雑化・高度化しており、多様な患者ニーズに応え、世界に先駆けてイノベーションを生み出すために、各種法規制が適正に機能しつつも、ボトルネックとなることのないよう、国際的な制度の調和(ハーモナイゼーション)をさらに推進します。

質の高い効率的な医療の提供・医薬品や医療機器の研究開発の効率化を図るためには、健康医療データの利活用は不可欠であり、「仮名加工医療情報」の二次利用にかかる法整備や、臨床試験等に活用しうるデータの標準化と信頼性確保などを推進します。

フェムテック(女性の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービス)関連医療機器や医薬部外品の届出、認証が円滑に行われるよう改善します。

❸主体的・戦略的な経済外交

日本の「モノ」「サービス」を海外に広める取り組みを徹底して行います。特に鉄道や発電所、上下水道など、日本が誇るインフラ設備の輸出も官民共同で行い、日本の産業の振興と世界への貢献を両立させる取り組みを行います。また、対日投資促進やインバウンド需要拡大をめざし、外国法人との対話力強化や多言語での情報発信強化等に取り組みます。自由貿易協定については、TPP等の経済連携協定の効果を検証し、自由貿易の重要性を踏まえつつ、自動車や農業分野など、日本の国益を守ることを最優先に位置付け、主体的・戦略的な経済外交を推進します。

❹セキュリティ・クリアランス

国民民主党がいち早く必要性を訴えていたセキュリティ・クリアランス制度は法改正され前進したが、運用面での課題は残っています。施行後の制度がより実効性のあるものとなるよう対象者の評価基準の見直し等、重要情報の漏えいの防止策をさらに強化します。

※セキュリティ・クリアランス制度:政府が保有する安全保障上重要な情報にアクセスできる者の信頼性を確認し、アクセスを認める制度。

(2)食料自給率50%を実現

❶農林水産業を守る

■コメの生産基盤(農家、水田)の維持

コメの生産・物流政策の検証・見直しを行いつつ、十分な農地面積及び水田面積の確保を図ることで水田の維持・確保を取り組みます。米政策の再構築と食料安全保障基礎支払い(直接支払い)の創設で、米価高騰を止めます。

■「食料安全保障基礎支払」の創設

世界的な食料危機や気候変動への対応を広義の安全保障として位置付けるとともに、国土、水源、自然環境の保全など、農業の公共的・環境的役割を重視した農政を展開します。防災、水源涵養、自然環境の保全など農業・農地の多面的機能を重視した農政に転換します。農村の維持・活性化に重点を置きます。主要農産物、食料ごとの自給率目標を定める「食料自給基本計画」を策定し、食料自給率50%を実現します。

食料安全保障の強化のためには、国内の生産力を高めることが最重要であり、農業者の視点に立った「骨太の基本法」を制定します。その際、米の需給調整は国の責任で行うとともに、「営農継続可能な農業者の所得向上」を最優先に考え、適正な価格形成に向けた環境整備を消費者の理解を得ながら進めるとともに、「食料安全保障基礎支払」(含「環境加算」「防災・減災加算」)を導入します。農地が持つ炭素貯留機能によるCO2排出削減効果を炭素クレジットとして取引できるようにします。田畑などへの鳥獣被害対策、都市農業支援に取り組みます。種子法を復活させます。JAの准組合員規制には反対であり、地域に根差した「農」を支える人づくりを行います。

■水田政策の新制度への移行に伴う影響緩和措置

いわゆる「5年水張りルール」等、水田活用直接支払交付金等の運用変更によって様々な経営判断を行ってきた農業者が、不公平感なく、納得できる経過措置を講じます。また、畑地化事業は廃止します。

■兼業農家支援

これまで国の支援対象から外されてきた兼業農家や「半農半X」※を多様な農業人材として位置付け、地域の実態を踏まえて国による支援の対象とします。

※半農半X…都市から農村に移住し、別の仕事をしながら農業を営む取り組み

■学校給食の国産化・食育活動の推進

地産地消の食材を活かした学校給食の国産化・食育活動の推進を進めます。学校給食について、農産物、水産物ともに地産地消を進めるとともに、有機農産物の利用を推進します。遺伝子組み換え食品も学校給食では使いません。栄養教諭の配置など食育活動の推進を図ります。

■ふるさとへの帰農支援

夫婦の一方が生まれ育ち、親の住んでいた故郷に帰農する場合、年最大250万円を給付する制度(「夫婦ふるさと帰農支援給付金」)を創設します。「農業次世代人材投資事業」を充実・強化し、農業後継者の就農を強化しつつ、過疎地の活性化を図ります。

■飼料の国産化

畜産用飼料の大部分を海外に依存し、国際需給に左右される現況を改善し、安定的な供給を図るため、飼料の国産化を推進します。

■地域資源のフル活用

地熱・中小水力・バイオマス・太陽光・風力等の地域資源を活用した農業を支援し、農村地域の所得増大をめざします。分散型のエネルギー産業活性化と農業振興をシンクロさせ、上述の食料安保とも絡めた「新・地方農業成長戦略」を立案します。

■林業の活性化・花粉症対策

戦後に造林した木材の多くが伐採期を迎えており、国産材の供給余力は増加している一方、未だ国産材利用率が低いのが現状です。農業用ハウスや畜舎、木質サッシの推進を含め住宅、公共建築物等への木材利用を加速させ、森林資源の有効活用により持続可能で地球温暖化防止に寄与する林業に転換し、国内林業を活性化させます。また、国民の約3割以上が罹患しているスギ花粉症の対策強化を図るため、スギ人工林の伐採・利用・植え替えの促進、花粉の少ない苗木の生産拡大、花粉飛散抑制技術の開発をさらに進めます。

■持続可能な水産業の発展

水産業を取り巻く環境は依然として厳しく、漁獲量の減少・海洋環境の変化・就業者の高齢化・担い手不足等が深刻です。一方で水産業の持続的な発展は、海洋国日本の安全保障上も極めて重要です。再生の為には、漁業者の収益性の向上が不可欠であり、漁業経営の安定化、漁村の維持、競争力強化、養殖業の支援強化、漁業施設の整備・漁港機能増進等に取り組みます。また、水産業に携わる労働環境改善のため、必要な法改正を行います。

ALPS処理水の海洋放出については、継続的なモニタリング、徹底した情報公開、国内外への説明を行うと同時に漁業者の事業継続を強力に支援し、風評被害対策に万全の取り組みを行います。中国の日本産水産物禁輸への対策として即時撤廃へ向けた外交努力とともに、国内消費の促進支援、新規輸出先の開拓、新たな輸出先のニーズに応じた加工体制の強化等に取り組みます。

改正漁業法については、制度の運用状況も含めて、浜の現場の声を聞き、真に必要な見直しに取り組みます。また近年、日本近海で度々発生する赤潮被害等に対する救済制度の拡充と、その発生メカニズムの解明・被害を防ぐ科学技術開発の推進に取り組みます。

■家畜伝染病の阻止

アフリカ豚熱(豚コレラ)など家畜伝染病の海外からの流入を水際で徹底阻止するため、検疫探知犬の配置の充実、許可のない肉製品等の持ち込み者に対する上陸拒否など、検疫体制を強化します。

■農林水産業を担う人材の育成

農林水産業の担い手育成のために現業従事者の技能向上とともに新規就労者の確保・定着支援を行います。

❷消費者を守る

■消費者目線の食品表示制度

安全・安心な農産物・食品の提供体制を確立するため、原料原産地表示の対象を、原則として全ての加工食品に拡大するとともに、食品トレーサビリティの促進、食品添加物、遺伝子組み換え食品表示やアレルギー表示、ゲノム編集応用食品表示等、販売の多様化にあわせた表示内容、消費者目線の食品表示制度の実現を進めます。認可・認証基準について消費者サイドに立ち、厳格化します。

■機能性表示食品の安全性確保

機能性表示食品による健康被害について迅速な原因究明を行います。機能性表示食品における審査制度を見直し、安全性の確保を進めます。

■万引き犯罪防止対策の強化

万引きの抑止に向けて、実態の把握と対策の周知を行うとともに、被害届手続きの簡素化、罰金刑の厳格な運用や、監視装置(防犯カメラ)の設置支援等の必要な対策を講じます。

■循環型経済の確立

大量生産・大量消費・大量廃棄から脱し、サーキュラーエコノミー(循環型経済)へ対応した製品の製造や流通を促します。

■SDGsの推進

持続可能な世界を残すために、国際社会が2030年を目標として取り組む国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を推進します。「人間の安全保障」の理念に基づき、気候変動対策、クリーンエネルギーの推進、人権の保護、ジェンダー平等と女性・女児のエンパワーメント、包摂的で公正な社会の構築などに取り組みます。

■動物愛護

人と動物が幸せに暮らす社会を実現するため、地域猫活動の認知と促進、犬猫の殺処分ゼロをめざします。アニマルウェルフェアの理念(5つの自由)に基づいた飼養管理の推進に取り組みます。動物福祉後進国の日本において、動物を飼養・管理する者の責務の強化、動物取扱業者の責任の強化、動物愛護管理法に基づく規制の厳守、自治体による監督・指導の実行力強化などに取り組みます。

■マイクロプラスチック対策

マイクロプラスチック問題の深刻化を踏まえ、国際的な取り組みを強化するとともに、生態系への影響を防止するための規制を導入します。ペットボトルやプラスチックなどのリサイクル・回収制度普及を進めマイクロプラスチック対策を加速化させます。

■悪質寄付の規制

カルト宗教などへの悪質な寄付勧誘を規制するため、「心理的支配利用罪新設法案」の成立をめざします。

■空き家対策を含む住宅政策・高齢者や子育て世帯の住まい確保

所有者不明土地の利活用制度を拡充します。スタートアップ企業や地域貢献が期待できる事業用に利活用できるように国の法制を整備します。所有者不明土地問題、犯罪利用の防止を含め、空き家対策を強化します。空き家の有効利活用を図るとともに、空き家取り壊し等地域の住環境整備事業のための財源確保特別地方債を創設します。土地家屋調査士・行政書士・司法書士等の関連士業と行政による対策プラットフォームを法制化します。空き家解体への減免を図ります。

「中古住宅高付加価値化法(仮称)」を制定します。建物状況調査(インスペクション)の普及支援など既存住宅の資産価値が適切に評価される体制をつくるなど不動産流通システムの透明化を進めることで、中古住宅の流通合理化・市場活性化を図ります。団地の世代循環、高齢者向け住宅の供給拡大を進めます。既存住宅の断熱改修の促進を含む省エネ化、住宅バリアフリー化、耐震化を進めます。

また、居住支援制度を充実や公営住宅の活用等により、高齢者や子育て世帯が安心安全な住まいを確保できるよう、住宅政策と福祉政策の連携強化を図ります。

■相続登記の申請義務化

相続手続きの申請義務の周知・相談体制の対応強化を図ります。

4カーボン・ニュートラルの推進 

(1)地球温暖化対策

2050年カーボン・ニュートラル社会の実現や「パリ協定」の推進に向け、徹底した省エネルギーと、電源の低・脱炭素化や電化の推進、運輸部門における電動車の普及促進(インフラ整備を含む)、蓄電池やCO2フリーの水素・合成燃料(バイオジェット・e-fuel等)の開発・生産支援を行うなど、革新的なイノベーションとその社会実装を通じた大幅なCO2削減をめざします。

(2)エネルギー安全保障

ロシアのウクライナ侵略や中東における紛争等により、我が国のエネルギー安全保障の確保が危惧される中、資源の少ない日本にとって、エネルギー自給率の向上などエネルギーを安全・安定・安価に確保することは極めて重要な課題です。電力システム改革は、①安定供給の確保、②電気料金の最大限の抑制、③需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大を目的に開始されましたが、電力需給ひっ迫や新電力の撤退・倒産が相次ぐなど課題が顕在化しています。2016年4月に開始した電力小売り自由化は、いまだ規制料金が残されていることからも、全面自由化が国民や経済・社会にとって真に有益な施策となっているかの検証が必要です。こうしたことから、エネルギー安定供給の確保をはじめとするエネルギー安全保障を重視し、盤石なエネルギー供給体制を実現するため、安定供給の要である火力発電の高効率化、低炭素化、炭素貯留(CCS)を促進しつつ、再生可能エネルギーや原子力など他国依存度の低い電源を積極的に活用していきます。また、安定供給や災害等への迅速な対応を念頭に置きつつ電力システム改革を検証し、必要な見直しを行います。

(3)分散型エネルギー社会

S+3Eを大前提に、共生・自立・分散型のエネルギーネットワークを構築し、再生可能エネルギーを中心としたマイクログリッドを含む自立・分散型エネルギー社会の構築をめざします。特に洋上風力、地熱の活用に注力するとともに、ジオエンジニアリングに取り組みます。地熱・中小水力・バイオマス・太陽光・風力等の各地域資源の有効活用や地域のエネルギー関連産業の発展等を通じて地方の可能性を引き出します。再エネ賦課金が増大し国民に大きな負担となっていることから、再エネ賦課金制度のあり方を検証し必要な見直しを行います。2030年代には電源構成比で再エネ比率が40%以上となるよう自治体等の関係者の合意を得つつ着実な取り組みを進めます。蓄電技術の開発向上や資源の安定確保に取り組み、将来的には蓄電システムを併設した太陽光発電システムによる電力コストを大幅に低減し得る自家消費型電源システムの普及促進を図ります。

(4)原子力政策

脱炭素化を求める世界的な流れが加速する中、原子力は発電時にCO2を排出しないという観点から、カーボン・ニュートラルに大きく寄与します。加えて、エネルギー価格高騰が叫ばれる昨今において、原子力は資源価格の影響を受けにくく、出力が安定的であるという観点から、エネルギー安全保障にも大きく寄与します。以上のことから、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、安全確保を最優先としつつ、原子力を我が国の電力供給基盤における重要な選択肢と位置付け、当面の間は次の考え方に基づき原子力エネルギーを利用します。①40年運転制限制を基本としつつ、科学的・技術的根拠に基づいた運転制限を厳格に適用する。②法令に基づく安全基準を満たしたうえで避難計画を作成し、地元同意を得た原子力発電所は早期に稼働させる。③カーボン・ニュートラル社会の実現に向けてあらゆる手段を確保・活用する。

原子力に関する規制機関の審査体制の充実・強化や審査プロセスの合理化・効率化等を図り、適合性審査の長期化を解消します。データセンターや半導体工場の新規建設による電力需要の大幅増加も見据え、将来に渡る電力の安定供給を実現する必要があります。そのため、次世代軽水炉や小型モジュール炉(SMR)、高速炉、浮体式原子力発電など次世代革新炉の開発・建設(リプレース・新増設を含む)、使用済燃料の処理・処分に関する革新的技術の研究開発、新たな発電・送電・蓄電技術や核融合技術の研究開発等を進め、経済安全保障の確保とカーボン・ニュートラルの両立を支える技術の確立、国内サプライチェーンの確保、国際競争力の強化、人材の維持・向上を図ります。

また、放射性廃棄物の処理や使用済燃料の再処理、原子力施設の廃止措置などのバックエンド対策については、国の責任において着実な前進を図るとともに、使用済燃料の処理・処分に関する革新的技術の研究開発を進めます。

また、原子力発電所など原子力施設への武力攻撃を想定し、自衛隊によるミサイル迎撃態勢や部隊の配備などを可能とする法整備を行います。

5 危機から国民と国土を守る

ロシアによるウクライナ侵略により国際秩序が根底から覆される危機にさらされる中、中国の急速な軍備拡大、頻繁な領海侵犯、北朝鮮による我が国周辺への度重なるミサイル発射やロシアによる北方領土への新型ミサイル配備など、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しています。このような厳しい安全保障環境を踏まえつつ、「戦争を始めさせない抑止力」の強化と、「自衛のための打撃力(反撃力)」を保持します。激変する安全保障環境に対応するため、日米安保体制をさらに安定的に強固なものにしていくことは、日本の安全のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠です。

日本の外交・安全保障の基軸である日米同盟を堅持・強化しつつも、米国に過度に依存し過ぎている日本の防衛体制を見直し、「自分の国は自分で守る」ことを安全保障政策の基本に据え、必要な取り組みを行います。

(1)日米同盟

周辺諸国が核兵器を保有し、その投射手段であるミサイル開発を継続している状況を踏まえると、拡大抑止の実効性確保について具体的に議論していく必要があります。このため、現在行われている「日米拡大抑止協議(EDD;Extended Deterrence Dialogue)」を局長級以上に格上げするとともに、成果について国民に説明するよう求めます。

日米両国の信頼関係に基づき、平和安全法制の見直しや地位協定の見直しに加えて、非対称的な双務性を定めた日米安全保障条約の将来像についても日米間で議論を行います。米軍、軍人、軍属、その家族に対する国内法の原則順守、日本側の米軍基地の管理権などについて米国と協議します。利便性向上にもつながる横田、岩国空域及び管制権の返還を求めます。

辺野古の埋め立てについては、軟弱地盤の存在が明らかになったこともあり、期間や費用が当初より大きく膨らむことが懸念されています。普天間基地の代替機能を計画通り果たすことができるのかなど日米間で十分に協議します。

(2)国内の防衛生産・技術基盤の強化

主要な防衛装備を自国生産できる製造基盤の強化や新規参入の促進、研究開発体制の強化や防衛産業の育成・強化を目的とした一定の利益率の確保など防衛産業の活性化に取り組むとともに、防衛産業が抱える様々なリスクを軽減・排除し、装備移転の促進など販路の拡大に取り組みます。

(3)領域警備

海上保安庁の体制・装備を強化し、自衛隊やその他の政府機関との連携を深めます。海上保安庁の任務に領海警備を加える海上保安庁法改正、情報収集・警戒監視活動を明記する自衛隊法改正を実現し、いわゆるグレーゾーン事態への対処を強化します。

(4)能動的サイバー防御

従来領域(陸、海、空)において不十分であった継戦能力の確保や抗堪性の強化を抜本的に見直して整備するほか、防衛技術の進歩、宇宙・サイバー・電磁波などの新たな領域に対処できるよう専守防衛に徹しつつ防衛力を強化するため、必要な防衛費を増額します。

サイバー安全保障を確保するために、我が国においても平時の段階からサイバー攻撃者の動向を探り、対処を行う能動的サイバー防御(アクティブ・サイバー・ディフェンス)について、能力整備と実施体制の整備を行うとともに、「サイバー安全保障基本法(仮称)」を年内に制定します。

情報収集衛星を質・量ともにレベルアップを図るとともに、イギリスのJIC※などを参考にしつつ、日本のインテリジェンス能力を高めます。

安全保障上の観点から、公共インフラやカーナビ情報等の実情について調査し、所要の対策を講じます。

※Joint Intelligence Committee 合同情報委員会

〇)スパイ防止法(仮称)の制定

スパイ防止法(仮称)を制定します。サイバーセキュリティ対策など従来のスパイ対策と異なる対応も求められており、より実効性あるスパイ対策を講じるためには、スパイ防止法の制定も含めた幅広い議論と検討を進めます。

(5)固有の領土

尖閣諸島をはじめ、我が国の領土・領海・領空を守り抜きます。我が国の固有の領土でありながら外国に不法占拠されている北方四島と竹島については、返還実現に向けて粘り強く交渉を続けるとともに国際社会における世論形成に努め、解決をめざします。

関係各国と緊密に連携し、北朝鮮の完全な非核化、ミサイル放棄を実現するとともに、拉致問題の解決を図ります。

(6)ミサイル防衛の強化

ミサイル防衛体制を抜本的に見直し、あらゆる経空脅威に統合的に対応する統合防空ミサイル防衛(IAMD;Integrated Air and Missile Defense)能力を強化してまいります。この際、現在進めている「イージスシステム搭載艦」の有効性を検証・評価するとともに、地上配備システムを含む包括的かつ最適なミサイル防衛体制の整備を行います。それに加えて、多数の弾道ミサイル攻撃に対処するための弾薬の整備を進めるとともに、極超音速滑空兵器(HGV:Hypersonic Glide Vehicle)等の高度化・多様化する経空脅威への対処能力の向上を図り、レーダーや国産の中距離地対空誘導弾(中SAM:Surface-to-Air Missile)の能力向上、滑空段階迎撃用誘導弾(GPI:Glide Phase Interceptor)の日米共同開発などを促進します。

(7)自衛官、予備自衛官等の処遇、勤務環境の改善

自衛官、予備自衛官等の処遇、勤務環境の改善、留守家族支援策の強化などに取り組むと同時に、退職自衛官の再就職支援の強化や若年定年退職者給付金の拡充を図ります。また、女性自衛官が更に活躍することができるよう、勤務環境の改善や子育て支援、育児後の職場復帰が円滑にできるような施策を講じます。

(8)シェルターの整備

北朝鮮の弾道ミサイル発射や台湾有事に備え、自衛隊施設はもとより避難施設等についてもシェルター確保を進めます。また、想定される有事に対して効果的、効率的な避難訓練を実施します。

(9)外国人土地取得規制

我が国における土地の取得・利用・管理をめぐる最近の状況に鑑み、総合的な安全保障の確保を図るため、防衛施設周辺に限らない、全国的かつ網羅的な土地取得の調査と把握を行います。それを踏まえて、大正14年制定の外国人土地法の改正も選択肢に入れ、実効的な「外国人土地取得規制法案」の成立をめざし、我が国の国土を守ります。

(10)人権外交の推進

「対話と協力と行動」という基本的な考え方に基づき、普遍的価値を共有している諸外国と連携した人権外交に取り組みます。人権侵害行為を理由に、加害者たる個人や団体に対し、資産凍結やビザ規制などの制裁を行う「人権侵害制裁法(日本版マグニツキー法)」と、サプライチェーンの透明化などにより、日本企業をレピュテーションリスク(評判の毀損による企業価値の低下)から守るための「人権デューデリジェンス法」を制定します。

ロシアへの制裁措置への導入・拡充に関しては、G7を中心とする各国と連携し、IMF等多国間金融機関からの融資防止やロシアへの新規投資禁止等の措置を講じるほか、必要な外交努力を行います。

また、ODAのインフラ偏重を是正し、医療、教育、貧困対策等の民生部門を重視します。

(11)グローバルサウスとの連携強化

「自由で公正な貿易秩序」と経済安全保障の両立に向け、ルールベースの国際貿易秩序の再構築、有志国との信頼できるサプライチェーンの構築、グローバルサウスとの連携を強化します。多くが自国優先主義に傾きがちな今だからこそ、日本が新たな国際秩序構築に顕著なる貢献をしていきます。

(12)感染症対策強化

感染症法に基づき、感染力と罹患した場合の重篤性等の観点から危険性が高い感染症については医療機関の受け皿を拡大し、症状等に応じた役割分担と連携を強化して、医療崩壊の閾値そのものを上げます。次なるパンデミック等、有事を見据えた治療薬やワクチンの開発・生産体制を強化するとともに、パンデミック時の役割分担と連携等にかかる医療体制のあり方を整理したうえで、必要な法整備を含め、感染症に強い国づくりを推進します。平時の病床数に加え、感染症緊急時に対応できる病床にゆとりが持てるように診療報酬、介護報酬を改めます。医師・薬剤師・獣医師・保健師等の人材確保など保健所の機能強化に努めます。

6 地域活性化

(1)新しい地方分権

地方自治体への権限・財源移譲を推進し、地方間の財政調整機能を強化し地域が自主性・独自性を発揮して切磋琢磨できる環境を整え、日本全体の底上げを図ります。地方創生臨時交付金を増額し、一括交付金を復活させます。国と自治体の「歳入比率5:5」を実現します。歳入比率「6:4」歳出比率「4:6」の矛盾を改善します。

住民自治を基礎とした「持続可能で活力ある地域社会の実現」のために、労働者協同組合法が円滑に施行され、広範に活用されるべく、全ての地方自治体における「協同労働」推進のためのプラットフォームづくり等に取り組みます。

DX格差の是正と持続可能な地域・産業社会の実現を目指します。

❶ふるさと納税の見直し

企業版ふるさと納税による地方創生事業について、企業による寄付によって公平性に疑義が抱かれないように透明性を確保します。また、ふるさと納税全体が本来の制度趣旨に沿った運用となるように取り組みます。

❷大都市圏への人口集中の是正 

■「移住促進・UIJターン促進税制」の創設

「移住促進・UIJターン促進税制」を創設します。特に、持続可能で活力ある地域社会の実現のため、「里帰り減税(控除)」を実施し、東京圏からの転出により出身の市町村等に定住する場合、繰越控除を含む所得税・住民税の大幅な減免を行います。これにより、防災・減災の観点も踏まえ、都市の機能分散を推進します。

■地方中小企業と就職希望者をつなぐマッチングシステムの創設

UIJターン希望者や女性・高齢者等を地方中小企業等につなぐマッチングシステムを創設します。また、滞在型施設のある市民農園(クラインガルテン)や他地域就学の促進による関係人口の創出に取り組みます。

■地方都市シャッター街の利活用

地方都市シャッター街の利活用を進めます。地方都市シャッター街物件をスタートアップやリモートワークで利活用できる税制・マッチングシステム等を創設します。

■歴史的景観の保全

街づくりについては、歴史的建造物や景観の保持と調和する街づくりを行います。

■リモート勤務者支援

リモート勤務者の地方在住に前向きな企業と、当該勤務者が在住する自治体を支援します。社員に占める遠隔地方勤務者の人数によって法人事業税等を減免するとともに、在住自治体には地方交付税算定上配慮します。

■人口密度に応じた法人事業税・法人住民税減免制度の創設

人口密度に応じた法人事業税・法人住民税減免制度を創設し、企業や事業所の地方 移転を推進します。当該減免措置による減収分は地方交付税算定時に考慮し、地方財源を補償します。

■スタートアップ支援

スタートアップ支援のため、起業支援税制・融資制度の整備、起業家教育の推進に取り組みます。ひとり親が起業する際には子どもの預かり体制など迅速に働ける環境 を確保できるような必要な支援を行います。

❸暗号資産を活用したトークン・エコノミーの支援

Web3.0など非代替性トークン(NFT)を生かした経済を推進するため、法定通貨である円を電子通貨化するとともに、地方自治体による、地域経済活性化に資する暗号資産「デジタル地域通貨(仮称)」の発行を推進します。

❹公共交通政策

公共交通は、地域住民の自立した日常生活の確保、地域間の交流の促進、環境負荷低減など、社会政策・環境政策などの側面も持ち合わせていることから、採算重視や民間任せではなく、国が責任を持って「公共交通ネットワーク計画」を策定し、国土の健全な発展をめざします。

「公共交通確保法」を制定し、地方では「公共交通確保条例」を制定します。地域ごとに、鉄道等どのような公共交通手段が確保されているかを悉皆調査し、公共交通弱者をなくします。

❺日本版ライドシェアの検討・乗合タクシーの普及支援

タクシーの台数が少なく、移動の自由が十分に確保できない地域においては、日本版ライドシェアは、国民生活には必要な取り組みです。ただし、①お客様の安全確保 ②車両の安全確保 ③事故時の適切な対応の3条件が担保されることが前提であり、あわせて、タクシー運転手の雇用、賃金、労働時間等にマイナス影響のないよう、十分な対応、支援措置を行うことが必要です。

また、低料金でドアツードアの乗合タクシー(デマンドタクシー)、コミュニティバスなどを、国の基準の見直しや予算措置で、強力に支援します。さらに、免許を返納した高齢者も活用できるように地域タクシーの補助や、介護福祉タクシーの負担軽減を進めます。

❻eスポーツ振興による地域活性化

関連市場も含めて大きな経済波及効果があるeスポーツの振興や世界大会誘致などによる地域活性化を推進します。

❼地域文化の保護

地域の伝統文化である民俗芸能を保護するため、人材育成や用具の維持に対して支援を拡充し、地域の誇る文化を維持します。また地域文化の奉納場所(寺社など)の環境を整備します。

❽地域における文化・歴史の継承、振興

地域における交響楽団、合唱団などの音楽や演劇鑑賞、美術や博物、歴史的遺物などの保護、展示等を通じて地域の歴史・文化の継承・発展を図るとともに、子ども達のまっすぐな成育に資する事業への支援を行います。歴史遺産の耐震化等防災対策を進めます。

❾地方大学の連携

地域の指導者層を育成する地方国立大学と連携して、地域に潜在する資源を活用して外貨を獲得する産業・製品の創出を支援します。

❿地方観光資源の活用

隠れた観光資源が地方の活性化につながるよう、広域でつなぐような観光商品の開発事業やそこに至る安全な交通路、観光施設等の整備を促進します。

(2)NPOなどに対する支援拡充

「新しい公共」を推進します。就労・起業、空き家等の遊休資産活用等を支援し、地域社会の課題解決と雇用創出を図ります。「難病の子どもの資金支援法(仮称)」を制定し、「○○ちゃんを救え」等の資金を提供した人に対して認定NPO並みの税の減免措置を検討します。発達障がい児・医療的ケア児・身体障がい児当事者やその家族を支援します。

(3)郵政政策

2012年に成立した改正郵政民営化法に基づき、利用者の利便性を高めるとともに、郵政事業のユニバーサルサービスとしての役割を勘案し、郵便事業を確実に支える仕組みを検討します。特に、郵政事業に係る税制上の措置については、他の事業形態とのバランスも勘案しつつ、ユニバーサルサービス確保の観点から、さらなる検討を進めます。

「人づくり」こそ国づくり

「教育国債」の発行で、教育や科学技術など「人への投資」を倍増し、経済全体の生産性を向上させて日本の国際競争力を強化します。

幼稚園・保育園から高校までの教育完全無償化とともに、出産・子育て・教育にお金のかからない国を実現します。

児童手当や奨学金など子育て・教育支援策から所得制限を撤廃するとともに、年少扶養控除を復活、扶養控除を堅持します。公的医療保険に上乗せして徴収する子ども・子育て支援金制度を廃止します。女性の多様な生き方を支えます。また、性の多様性を尊重し、誰もが自分らしく生きていける社会をめざします。

人材教育、博士号取得者などの人材の積極的な採用増や処遇改善等の「人への投資」を増やした企業を評価する会計制度を導入します。

価格転嫁の促進や公的セクターでの賃上げも行い、公正な対価や賃金を払う社会をめざします。若年層が不合理な低賃金に抑え込まれるような賃金実態を是正します。

人材育成の強化を促進し、日本全体・地域の底力を引き出します。

1 教育国債の発行

「教育国債」で教育・科学技術予算を倍増し、「人づくり」を国の最重点政策として進めます(「人への投資」倍増戦略)。特に、基礎研究振興のための大学運営費交付金を増額し、大学・大学院に研究費や人件費を倍増することで、技術の基礎となる研究力をつけ、新たな商品開発力・品質改善力でのイノベーションを支えます。

教育や人づくりに対する支出は、将来の成長や税収増につながる投資的経費です。財政法を改正して、これらの支出を公債発行対象経費とする「教育国債」を創設します。毎年5兆円発行し、教育・科学技術予算を年間10兆円規模に倍増させます。

2 教育無償化の実現

すべての子どもが人生の平等なスタートラインに立つため、0~2歳の幼児教育・保育無償化の所得制限を撤廃するとともに、義務教育を3歳からとし、高校までの教育や子育てにおけるあらゆる施策を完全無償化します。①0歳児の見守り訪問無料(おむつ・ミルク定期便)、②18歳までの医療費無料、③小中学校給食無料(地産地消や有機食材を推進)、④公共施設入場料無料、⑤第1子からの保育料無料、⑥産後ケア無料、⑦乳幼児育児中の休息支援サービス(レスパイト)無料、⑧障がい児福祉無料、⑨妊婦健診(オプション検査)無料、⑩新生児スクリーニング検査無料、⑪学童保育・おやつ代無料、⑫教材費や修学旅行費等無料。

3 子どもの安全

(1)通学時の子どもの安全確保

「児童通学安全確保法」を制定し、児童の通学中における安全の確保に関する基本指針等を定め、児童通学交通安全区域における交通の規制や道路の整備など対策を進めます。国が責任を持って体制を整備し、通学路などでの子どもの安全を守ります。

(2)エアコンの設置

全ての保育園・幼稚園・小中学校・高校へのエアコン設置(特別室・給食調理室・体育館含む)を国の補助によって実現します。

(3)児童虐待防止対策の強化

身体的虐待のみならず、性的虐待、心理的虐待、ネグレクト等、全ての虐待から子どもたちを守るための多機関連携と伴走施策を進めます。

まずは児童養護施設や一時保護所、児童相談所スタッフの増員とデジタル化、専門職の配置の他、子どもたちを取り巻く環境の整備が必要です。被虐待児の心身のケアと学習支援、虐待加害者等への生活支援、里親制度の更なる充実も併せて推進します。また、新たに法整備された「日本版DBS法」※を着実に実行するとともに、民間事業者にも性犯罪歴の確認を義務付け、子どもたちを性被害から守ります。

※日本版DBS法…幼稚園や小中学校等に就職希望者の性犯罪歴の確認を義務付ける法律

(4)子どもの死亡検証(チャイルドデスレビュー)の導入

医療機関や行政をはじめとする複数の機関・専門家が連携して、亡くなった子どもの事例を検証し、予防策を導き出すことで、子どもの死亡を少しでも減らします。

4 教育の充実

(1)給特法の見直し

学校教員の長時間労働の是正等、働き方改革及び教職員等の増員に取り組むとともに、給特法(教職調整額を支給する代わりに、超勤手当を支給しないと定める法律)は、廃止を含め、見直します。

(2)「教育DX」の推進

教職員の働き方改革及び問題発見能力・課題解決能力の育成を主眼とした個別最適学習の実現に向けて、デジタルの力を最大限に駆使した教育現場のDXを積極的に推進します。

(3)学校スポーツの指導者確保及び財政支援

部活動の地域移行に関する費用等も勘案し、児童手当のさらなる拡充や教育・保育サービスを受けられるクーポン券の発行(バウチャー制度)を検討します。学校スポーツの地域化が困難な地方では児童・生徒への財政的支援策を講じます。地域スポーツクラブ等がほとんどない地方での学校スポーツの地域化のためには満18歳以上の学生を含む指導者(教員等)の確保等、負担軽減にも取り組み、財政面も含めた公的支援制度を構築します。学校の部活動や地域のクラブ活動への移行を踏まえ、学校と地域が協働・融合した形での地域におけるスポーツ環境整備の支援を行います。

(4)「部活動の地域移行」に関する積極的推進に関する各施策

学校と地域及び地元企業や団体、大学・専門学校等が協働・融合した形での地域部活動の幅広い環境整備のための支援を行います。

(5)地域スポーツ振興の支援促進

全世代多数の地域住民にスポーツの恩恵を提供できる総合型地域スポーツクラブを基盤とした地域スポーツ体制を推進します。子どもの居場所づくりを含めたスポーツによる学童サービス、部活動の地域展開の受け皿、健康寿命を延ばす予防医療や生涯スポーツなど、世代や競技種目等を跨いだ包括的な地域スポーツ環境の整備や支援を積極的に進めます。また、スポーツを通じて平和外交に寄与します。

(6)不登校児童への教育の機会の保障

不登校児童への福祉・医療・家庭への経済的支援を省庁間の隔てなく、児童個々単位での適切な支援を強化します。そのために、子ども包括支援センターや小学校低学年から可能とする学校型不登校特例校の設置を推進します。また、規則正しい生活を送ることができ、子どもたちがすこやかに成長するため、自立支援学校の拡充をめざします。

(7)児に対する適切な施策の推進

あらゆる子どもであっても学びの機会は保障されるべきで、そのための仕組みや環境作りを推進します。

5 奨学金の拡充

(1)給付型奨学金の拡充

貸与型奨学金の所得制限を撤廃し、奨学金の原則無利子化と返済不要の給付型奨学金を中所得世帯に拡大します。卒業生の奨学金債務も減免します。

(2)奨学金返済免除

公的資金や教育国債を活用して奨学金徳政令をめざします。当面は、専修学校や高等専門学校、大学や大学院等の高等教育の授業料を減免するとともに、既貸与者の奨学金については1人最大150万円まで免除するとともに、返済額を所得控除の対象とします。

さらに、人手不足が深刻な教職員や自衛官等に就業した場合は全額免除します。

また、卒業後就職した法人が奨学金貸与者の返済を支援した際、返済支援額を法人税の控除の対象とします。

(3)「仕送り控除」制度創設

地方出身学生(進学のために単身、もしくは寮等で生活している学生で、いわゆる自宅生に比べて居住費等の負担が重い者)の仕送り負担軽減のため、年間の仕送り額を所得控除の対象とするような「仕送り控除」制度を創設します。地方出身学生の親の二重負担(「学費」+「仕送り」)軽減は教育環境格差是正にもつながります。

6 子育て・教育支援策の拡充と所得制限撤廃

児童手当や奨学金など子育て・教育政策の所得制限を撤廃します。

(1)児童手当の拡充・年少扶養控除の復活

日本の将来を支える子どもを等しく支援するため、親の年収にかかわらず、第一子、第二子の児童手当を18歳まで一律で月額1万5000円に拡充します。年少扶養控除を復活します。

(2)全ての障がい児福祉に係る所得制限撤廃

子育て・教育支援策の所得制限撤廃の中でも、障がいのある子どもの養育に係る経済的な負担を軽減することは急務です。特別児童扶養手当や障がい児福祉に関する全ての公的給付の所得制限を撤廃します。特別児童扶養手当の水準を引き上げます。

(3)ひとり親家庭に係る所得制限撤廃

ひとり親家庭、特にシングルマザー家庭の養育費確保問題に取り組むとともに、児童扶養手当の水準を引き上げます。医療費等の所得制限等も撤廃します。

また、ひとり親家庭の生活の安定と向上に向け、副業・兼業者への労働時間・賃金の通算による社会保険等の適用に向け早急に取り組みます。

(4)公的給付金への非課税

「公的給付金非課税措置法案」の成立をめざします。出産や子どもの養育、教育などの公的給付等については、給付の効果が減殺されることがないよう所得税を課しません。

(5)男性の育児参画

男性を含め一定期間の育児休業機会の付与を事業主に義務化します。男女ともに育休中の賃金保障を実質100%とする雇用保険法改正を実現します。父母が互いに育児を支え合う夫婦協同育児(コペアレンティング)と子育てシェア等を推進します。

また、「育児休業」を「育児参画」に改称し、職場での男性の休みづらさを解消します。

育児休業者の代替要員確保等の支援を拡充します。

(6)保育環境の受け皿の整備、待機児童・待機学童の解消と子どもの安全

待機児童の解消及び共働き世代の子どもの居場所づくりのために、保育施設と放課後児童クラブを積極的に増やします。全ての保育士等及び学童保育の職員の賃金を引き上げます。平日保育、休日保育や休日学童保育、病児・病後児保育、障がい児や医療的ケア児の保育など多様な保育を充実させます。

(7)妊娠・出産に係る公費支援

卵子凍結支援など不妊治療への公的支援やノンメディカルな卵子凍結(加齢により妊娠が困難になることに備え健康な若い女性が行う卵子凍結)についての助成をさらに拡充します。不妊治療に対する社会的認知を進めます。また、小児、若年性がん治療薬の妊孕性温存療法(精子・卵子保存)を保険適用にします。

(8)日本型ネウボラの創設

保健師・医師等による妊娠時から高校卒業までの「伴走型支援」を制度化し、妊娠・出産、子育て期まで保健や子育ての支援が一体となった切れ目のないサポート体制(ネウボラ)を構築します。子育て世代包括支援センターにおける業務を拡充し、妊娠時から高校卒業まで担当の保健師・医師等に相談ができる体制と組織を構築します。

7 人材育成の強化と職業訓練の拡充

研究・開発やものづくりの基盤を支える高度人材の育成を推進します。社会人の学び直し(リカレント教育、フリーランス、ギグワーカーなどに対応した教育・雇用環境を整備し、雇用労働者だけでなく社会人の学び直し、リスキリング教育)を支援します。

(1)「求職者ベーシック・インカム制度(仮称)」

雇用のセーフティネット機能を高めつつ、成長分野への人材移動と集積を進めるため、職業訓練と生活支援給付を組み合わせた求職者支援制度を拡充した「求職者ベーシック・インカム制度(仮称)」を構築します。また、資格取得等(大型一種、二種免許等)につながる教育訓練給付の更なる拡充、企業内の人材育成を図る若手・中堅の教育プログラム作成への支援をします。地元の企業との連携により、工業なども含めた専門高校、専門大学などでの職業的学びの確立を進めます。

(2)研究者の育成

任期付き採用が多く、賃金水準も低いため優秀な人材が海外に流出したり研究職を諦めている現状を打開するため、研究者の能力を正当に評価し報酬を支払う仕組みを整備します。

(3)EdTechの推進

AI、IoT、VR、学習・教育効果の向上、自動化・効率化、価格破壊、市場創出等により、従来の教育の仕組みや産業構造に大きな変革を起こします。

8 働き方改革

(1)長時間労働の是正

勤務から翌日の勤務まで一定の間隔を空ける「インターバル規制」の義務付け、長時間労働の温床となっている「裁量労働制」の厳格化、労働時間管理の徹底、違法残業など法令違反に対する罰則の強化など、未だ解消されない多くの業種の深刻な人材不足を解消するためにも実効性のある規制を設けます。

(2)「年収の壁(130万円の壁等)」の解消と働き方に中立な社会保障制度の構築

持続的な賃上げを実現するうえで障害となる「年収の壁」の解消をめざします。パート等短時間労働者が就業調整を気にすることなく、本人の意欲に応じて働き年収を増やすことができる制度となるよう、期限を決めて制度改革に取り組みます。また、社会保険の適用拡大の企業規模要件の撤廃を進め、働き方に中立的な制度への改革に取り組みます。

(3)労働者の保護

近年における企業組織の再編の状況等に鑑み、会社分割だけでなく事業譲渡の際にも労働契約や労働協約を新会社に継承できるように「労働契約承継法」の改正をめざします。勤め先が倒産したときの労働債権は他の債権に優先して支払われるように見直します。また、持株会社等が子会社等の従業員雇用に一定の使用者責任を負うよう企業組織再編における労働者の保護を整備します。

(〇) 労働教育の推進

「ワークルール教育推進法」の策定などにより、労働教育の推進を通じて、安心して働くことができる社会の実現をめざします。

(4)労働力不足の対策

一般的に3K(きつい、汚い、危険)といわれる仕事に従事している人の賃金を上げます。労働力不足が深刻な「運輸業・建設業」等の現業系職種の賃金を早期に増額し、当面は国による負担制度を構築します。

(5)育成就労支援

新たに始まる外国人労働者の育成就労制度については安価な労働力の確保策として悪用されないよう、厳格かつ適切な運用を求めます。また、育成就労制度と特定技能制度が一体的な運用となり、日本で働く外国人が特定技能制度2号になると家族帯同で永住できることから、来日する子どもや家族の日本語習得や日本の歴史・文化、制度などへの教育、学校での学習機会の確保等、国が主体的な対策を講じていくよう取り組みます。

(6)食事手当の非課税限度額の引き上げ

労働者の健康維持・増進のため、企業による食事補助の充実に向けて、食事手当に関する非課税限度額を6,000円程度に引き上げます。

(7)病気有給休暇の創設

病気の時のために年次有給休暇を残しておくという課題を解消し、年次有給休暇の取得を促進するために、年10日の病気有給休暇付与を創設します。

(8)職業訓練の権利保障

労働市場へ参入後に職業訓練を受ける権利と機会を保障する制度を検討します。

(9)労働災害防止対策

AI、IoT等の最新技術を活用して、労働災害を未然に防ぐための機器の開発・製造及びそれらを導入する企業への支援を積極的に展開します。安全人間工学を基礎とした安全管理技術の継承制度を創設します。採掘精製・製造等の現場及び職場等の安全衛生対策を目的とする設備投資や支出に対する税制優遇措置を設けます。

(10)ハラスメント対策

パワハラ・セクハラ・マタハラ・SOGIハラ等の職場におけるあらゆるハラスメント行為を法律で禁止します。また、就活生やフリーランスとして働く人に対するセクハラも法律で禁止します。悪質クレームの被害から労働者を守るための「カスタマーハラスメント対策推進法」を制定します。冤罪が起こらないよう対策を講じます。

9 就職氷河期課題への伴走支援

就職氷河期世代を中心とした中高年層における将来の年金不安に対応するため、国民年金等の「遡及納付」を可能にします。また、世代間公平とともに最低保障機能を強化した新しい基礎年金制度への移行や資産形支援として個人型確定拠出年金 (iDeCo)の特例を検討し、現役世代、将来世代を支えます。東京都によるソーシャルファームを国主導により全国展開します。公務員採用を拡大し、就職氷河期採用凍結による人材の世代不均衡を是正します。現在の求職者支援制度を拡充し、年齢制限のない職業訓練と生活支援給付等の支援を行います。切実な就職氷河期世代の親介護問題に対してビジネスケアラー支援策を充実します。公営住宅の年齢要件撤廃や、賃貸住宅への支援制度を検討します。

10 ジェンダー後進国脱却、多様性社会実現

女性差別撤廃条約選択議定書を批准し、教育、就職、賃金、経営、政治参加など、あらゆるライフステージと政策における男女格差をなくします。男女間賃金格差の是正、民間・公務の双方における女性労働者の非正規率の改善、採用活動におけるハラスメント防止などに取り組みます。

女性管理職比率向上のための研修導入等を推進します。これまでのジェンダー関連政策に関して検証を行い、地方自治体とも協力して課題解決に努めます。

障がい、ヤングケアラー、不登校、引きこもり、外国ルーツ、性的マイノリティなどの全ての子どもが互いを理解し、共に学べる「インクルーシブ教育」の環境をつくります。

(1)生理更年期障害政策

経済的な背景のみならず情報や教育の乏しさ等による「生理の貧困」に対応するため、生理用品の無償配布を行うとともに、学校における「生理教育(月経随伴症への対応や公立高校入試の追試対象であることの啓蒙、閉経や更年期障害に関する情報共有等)」に関する情報共有に取り組みます。

(2)選択的夫婦別姓制度

選択的夫婦別姓制度を導入します。多様な家族のあり方を受け入れる社会をめざします。婚外子差別となっている戸籍法の改正をめざします。法の狭間で苦しむ無戸籍・無国籍問題についても引き続き取り組みます。

(3)働く女性の健康サポート強化

若年期からの月経随伴症状や閉経前後の更年期における労働環境の整備に取り組みます。更年期症状や生理痛、不妊治療に対する理解促進に向けた研修や産業医の育成、休暇制度の導入を整備します。また、現行の生理休暇(労基法68条)を更年期症状や不妊治療など体調不良時に就業が著しく困難な場合にも利用できるものとし、取得が促進されるような名称に変更するとともに、取得した場合の所得補償を整備します。さらに、定期健康診断については性差を考慮した検査項目に見直します。また、フェムテックやメノテック(女性の健康課題をテクノロジーで解決へと導く製品やサービス)の開発、導入を後押しします。

(4)ヤングケアラー対策

「ヤングケアラー支援法」の施行状況を検証しつつ、育児や介護、障がいのある兄弟のケアや通訳等を日常的に行っている子ども(ヤングケアラー)の実態調査を定期的に行い、効果的な支援の方法を調査研究するとともに、ヤングケアラーの子どもやその家族に対する福祉的・教育的な支援を行います。

(5)ダブルケアラー対策

晩婚化・晩産化といった背景から子育てと介護が重なるダブルケアに苦しむ人が増加しており、実態把握のための調査を政府に義務付け、支援に向けた施策を行うよう政府に求める「ダブルケアラー支援法」を制定し、ダブルケアラーの支援を推進します。

(6)「可処分時間確保法」の制定

仕事の両立やリスキリングの時間を確保するなど、インターバル規制の導入等を定める「可処分時間確保法」を制定します。

(7)者・難病患者政策

障がい者・難病患者が住み慣れた地域で安心して自立した生活が送れるよう、「障害者差別解消法」の実効性のある運用をめざします。障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学び、働く「インクルーシブ教育・雇用」を推進します。また、大人の発達障がいへの社会全体での理解を促進するため、「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」の更なる実施等、国による啓発活動・指導等の強化に取り組みます。さらに、既存の発想にとらわれない新たな社会参加・就労機会の場を確保します。障がい者支援のため、優先調達の促進(就労支援施設からの自主製品の優先調達)や適正な工賃の検討をします。障がい児福祉に関する所得制限を早期に撤廃するとともに、障がい者に関する公的支援全般についても所得制限撤廃をめざします。

視聴覚障がい者などの自己選択と自己決定が実現できる社会環境を整備するため、手話施策推進法、情報コミュニケーション法を制定し、読み書き障がい(ディスレクシア)や聞き取り困難症(LiD)への合理的配慮の理解促進を進めます。

(8)者の自立支援給付に経済活動支援対象を拡大

障害者総合支援法に基づき、重度障がい者の日常生活及び社会生活に関しては、訪問介護や同行支援、行動支援などについて自立支援給付を受けられます。しかし、就労などの経済活動は給付の対象外となっており自立を妨げているとの指摘があります。そのため、重度障がい者の自立支援給付に経済活動の支援対象を拡大します。核家族化の中で、重度障がい者の高齢化と両親の高齢化に伴う孤立が課題となっており、対応する施設の整備や支援の充実で、安心して暮らせる居場所づくりに取り組みます。

(9)差別の解消とプライバシー保護

ヘイトスピーチ対策法を発展させ、人種、民族、出身などを理由とした差別を禁止する法律を制定します。また、性的指向、ジェンダーアイデンティティの多様性について、すべての国民が自然に受け入れられる共生社会の実現をめざし、アウティング(同意なき暴露)等を禁止し、ネット社会におけるプライバシーを守るための法律を制定します。

(10)外国人との共生

外国人の受け入れは、その能力が存分に発揮され、日本国民との協働・共生が地域社会や生活の現場においても推進されることが大前提です。困難な状況となっている地方における人材の確保、多様な言語に対応したワンストップセンターの整備など、地方自治体などに対する支援を強化します。また外国人児童・生徒の言語支援を強化するとともに不就学・進学の課題に取り組みます。育成就労の制度化にあたり、人権が保護されるよう、労働者としての権利性を高めます。

11 現役世代・次世代の負担の適正化に向けた社会保障制度の確立

働き続けたいシニア世代が健康でイキイキと働き続けられるよう、健康寿命延伸に向けた取り組みの充実を図るとともに、高齢者の技能や経験を活かした高齢者の積極採用などを企業に促します。住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・早期の認知症対策を含めた医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の取り組みを拡充、強化します。公立・公的病院支援等を行いつつ、地域にふさわしいバランスのとれた医療・介護サービス提供体制を構築する「地域医療介護構想」を実現します。人生100年時代を支える持続可能な社会保障制度を構築するためにも、医療DXの推進を通して医療の質の向上と効率化を図ります。

(1)年齢ではなく能力に応じた負担

年齢ではなく負担能力に応じた窓口負担にします。健康余命の伸長や高齢者のライフスタイルの多様化を踏まえ、後期高齢者の医療費の自己負担について原則を2割、現役並所得者を3割にします。また、「現役並所得」の判断基準について、従来の年金所得・就労所得に加え、金融所得、金融資産等の保有状況を反映させることで、世代間の支え合いに加え、“世代内”での支え合い機能と公平性を高めます。

高額療養費の自己負担限度額について経済状況に応じた設定を検討します。

医療・介護・障害福祉等にかかる自己負担の合計額に上限を設ける総合合算制度を創設します。

(2)後期高齢者拠出金への公費投入増

現役世代の社会保険料負担(天引き)の内、およそ半分を占める高齢者医療制度(後期高齢者拠出金、前期高齢者納付金)や次世代に対する支え合い分について、本来の制度趣旨を鑑み、現役世代だけではなくあらゆる世代が負担する公費投入を行います。その財源として、国民の安定的な資産形成の促進に配慮しながら、富裕層の保有する資産への課税等を検討します。

(3)保険給付範囲の見直し

市販品として広く定着した銘柄と同一の製品(いわゆるOTC類似薬)について公的医療保険の対象から見直し、セルフメディケーションを推進します。

年齢ごとに健康に生活できる状況を維持するのにかかる医療の費用対効果評価が低いものについては公的医療保険の対象から見直します。

また、保険外併用療養費制度 (評価療養、選定療養など)の弾力化を図ることで、難病ならびに希少疾病患者等に対する治療の選択肢を増やすとともに、先進的な医療の導入促進を図ります。医療アクセスの妨げとならないよう、特定の患者に対する保険外療養の経済的支援(予算措置)や、先進医療に対する民間保険の活用を図ります。

(4)ヘルスリテラシー教育の推進

国民が正確な知識に基づき、正しい判断と行動がとれるよう、負担と給付に代表される社会保障の仕組み、さらには薬物乱用等の不適切使用を抑止するための医薬品の適正使用、ワクチン・予防接種に関する基本知識などのヘルスリテラシーについて、平時からの教育や啓発の強化を進めます。

(5)セルフメディケーションの推進

安全性が高く効き目が確認されている医療用成分のスイッチOTC化を積極的に進めることで、国民の健康維持にかかる意識を向上させるとともに、医療費適正化に繋げます。また、自身の健康状態を把握して疾病の早期発見、早期受診を促すため検査薬のOTC化を推進するとともに、セルフメディケーション税制の普及に努めます。

(6)中間年薬価改定の廃止

後発医薬品の安定供給を図るとともに、我が国における新薬創出を促進するため、中間年薬価改定を廃止し、経済成長率を踏まえた新たな薬価改定ルールを策定します。そのため、中央社会保険医療協議会の構成を見直し、医薬品関連業種の代表者を加えます。

(7)予防医療・リハビリテーション

健康寿命を延ばすため、認知症予防を含めた予防医療やリハビリテーションを充実させ、フレイル(加齢とともに、筋力や心身の活力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間状態になること)予防を促進させます。また、国民ひとり一人が医療や社会保障にかかる正確な知識に基づき、正しい判断と行動につながるよう、平時からの教育を充実し、政策制度の工夫を図ります。

(8)医療提供体制の充実

医療従事者の長時間労働の是正、不要な業務の削減につながる規制改革、女性医療従事者の就業継続・再就業支援などにより、医師・薬剤師・看護師を確保します。さらに、医療DXの推進による保険医療の高度化・効率化を通じて、質の高い医療を受けられるようにします。

また、限りある医療財源・資源を効率的に提供するために医療機関の機能や役割分担を整理したうえで、かかりつけ医機能の強化をはじめとする医療提供体制の見直しを図ります。また、初期医療を担うかかりつけ薬局を制度化(日本版CPCFの導入)するとともに医師・看護師・薬剤師等の役割を再編します。課題の多い救急医療について在り方を検討します。

(9)地域医療のあり方の見直し・日本版GP制度の創設

地域の医療介護の窓口として、プライマリケア(総合診療)制度を推進し、必要な医療や介護を無駄なく漏れなく、お住まいの地域で受けられるようにします。

過疎地域を中心とした医療の経営基盤を支えるため、「日本版GP(かかりつけ医)制度」ならびに診療報酬の包括支払制度や人頭払制度等について検討します。

(10)地域における患者アクセスの確保と医療経営の安定強化

将来にわたって地域で医療サービスを受け続けられるよう、連携機関がグループで対応することで①診療機能の集約化・機能分担、病床管理、②医療機器の共同利用、③地域フォーミュラリ(医薬品の使用指針)の導入、④人的資源の派遣体制の整備等を推進し、地域医療連携の強化を図ります。また、医療圏単位で全診療科が設置できるよう、診療報酬上の評価にメリハリをつけることによって地域医療の安定強化と医師の偏在(地域及び診療科目)を解消します。

(11)医療DXの推進による保険医療の高度化、効率化

「公的介護費や生産性損失」を含む医療経済学や個人医療記録の収集・分析に基づく科学的・客観的な保険給付範囲の設定により、医療給付の効率化を図るとともに、新規医療技術の開発ならびに医療市場の拡大を推進します。また、診療所(保険医)におけるオンライン診療の要件化の推進により当面の医療空白地対策等を行い、患者の利便性を高めます。電子処方箋や電子カルテの義務化ならびに「全国医療情報プラットフォーム」の整備推進により、医療情報を共有化し、医療と介護の連携強化や重複投薬等を削減します。

(12)勤務医の働き方改革

勤務医の業務量削減のため、コ・メディカル(病院薬剤師、特定看護師、看護師等)への更なるタスクシフトやタスクシェアなどにより、働き方改革を推進します。

(13)法整備も含めた終末期医療の見直し

人生会議の制度化や尊厳死の法制化等、終末期医療のあり方を見直し、本人や家族が望まない医療を抑制します。

(14)介護サービス・認知症対策の充実

介護サービスの質を確保し、いのちや暮らしの基盤を立て直すため、政府が引き下げた訪問介護の基本報酬を引き上げ、全ての介護職員の賃金を引き上げます。また、かかりつけ医と訪問看護など医療と介護の連携推進、在宅サービスの充実、配食や見守りなどの促進を行い、「地域包括ケアシステム」の取り組みを拡充、強化します。さらに、認知症予防事業や認知症患者の徘徊対策などを推進します。介護職員の質を担保するために介護福祉士の上位資格「地域包括ケア士(仮)」を制度化し報酬に反映させるようにします。

(15)介護研修費用補助

介護職員の人材確保と職場への定着を図ることを目的として、介護職員研修(初任者研修・実務者研修・介護支援専門員実務研修)を修了した方に研修費用の一部を補助します。

(16)介護福祉士国家試験に母国語併記

外国人介護人材を受け入れていくにあたり、介護福祉士国家試験が日本語のため、合格率が低い状況にあり帰国してしまうケースが多いのが現状です。日本語に合わせて母国語を併記してもらい、資格の取得がしやすい環境を整備することにより、外国人介護人材が将来にわたり日本で活躍しやすい環境を整備します。

(17)ケアマネジャー更新研修の廃止、負担の軽減

現在、ケアマネジャー(介護支援専門員)業務に従事するためには5年毎に研修を受ける必要があります。研修内容は都道府県によりばらつきがあり、長時間の研修や研修費用等は受講者に大きな負担が強いられます。そのため、ケアマネジャーの更新研修を廃止します。また、現在の都道府県主体の体制を見直し、全国一律でケアマネジャーの質の確保を図ります。

(18)介護と仕事の両立支援

介護休業の期間を延長したり、介護休暇を時間単位で取得できるようにするなど、介護する家族の立場に立って、介護と仕事が両立できる環境を整えます。

(19)孤独・孤立対策

国による初の実態調査によって全世代の約4割が孤独であると回答し、中でも最も孤独感が高いのは20〜29歳の若者で、失業者・男性単身者・公営住宅居住者も孤独感が高いことが判明しました。「生きる権利」を行使するために、無料のセーフティネットの拡充を進め、相談しやすい体制の整備を図ります。

これまでの孤独・孤立対策や自殺対策(特に若年層や子どもの自殺)を検証します。メディアによる自殺報道にWHOガイドラインに即したルールを策定します。相談や支援につながる「タッチポイント」や地域における「つながる場」を増やすとともに、ボットも活用した24時間365日チャット相談体制を構築し、相談への応答率向上のための人材を育成します。孤独・孤立に対するリテラシー教育とスティグマ(偏見や差別、負のレッテル)対策を推進します。ソーシャルワーカーの養成を推進することや民生委員・児童委員の経済的負担を軽減することなどにより、地域で相談や支援活動を行う人材として子ども若者民生委員、デジタル関連サポートを提供するデジタル民生委員制度を創設します。孤独な育児による産後うつを予防するための産後ケアや睡眠指導、レスパイト(休息)の推進と無償化を進めます。高齢者の孤独・孤立対策として、地域企業と連携した見守りサービスの構築やAIを搭載したコミュニケーションロボット等購入のための補助金制度を創設します。

(20)ギャンブル依存症対策

急増するオンラインカジノなどを含むギャンブル依存症対策に取り組みます。

「正直な政治」をつらぬく

裏金や「非公開・非課税のお金」を許しません。「令和の政治改革」を断行し正直な政府をつくります。そのために政党法の制定や政治資金規正法の再改正、公文書の改ざん等に対する罰則の導入等必要な法改正を行います。

(1)政治資金の透明化

政治とカネの問題に係る国民の不信感を払拭するため、下記4点の政治資金改革を行います。①政治資金の透明性強化及びDX化、②違反した場合の議員の厳罰化及び政党交付金の減額・停止③政治資金を監視するための第三者機関の創設④政党のガバナンスを強化するための政党法制定

国会議員JRパスの悪用を防止するため、写真付にするとともにICカード化します。

(2)公文書改ざん厳罰化

公文書の改ざんや破棄、隠ぺいを行った公務員、不正を指示した政治家や関係者に対する罰則を導入します。行政文書の管理状況を常時監視する独立公文書監視官の設置やブロックチェーン技術による改ざん防止システムなど、公文書管理の抜本改革を行うとともに、情報公開を徹底し、国民の知る権利を保障します。「行政監視院」を国会に設置し、行政監視機能を強化します。官房機密費については、使途を記録するとともに原則公開することを検討します。

(3)選挙制度改革

衆議院については、民意をより正確に議席数に反映させる観点から、比例復活のあり方を含め、これまでの政治改革を検証し、選挙制度を見直します。参議院については、人口減少時代において地方の声をより反映させるために、合区を解消します。あわせて、衆参両院の役割を見直す等、参議院改革協議会の議論を参考に、選挙制度を見直します。また、自由で公正な選挙を妨げる行為に対する規制の強化など公職選挙法の改正を行います。

(4)熟議のための国会改革

与野党が熟議し、多様な意見を反映した法案修正ができるよう、国会の審議のあり方を見直します。また、国会対応をする官僚の過酷な労働環境改善を図り、ブラック霞が関の解消に取り組みます。

(5)党の政策立案におけるAIの活用

政策立案過程でAIを積極的に活用し、広く国民の声を聞くことで、党の政策の精緻化につなげます。

(6)若者と女性の政治参加推進

各級選挙に立候補できる年齢を18歳、とするとともに、英国の若者議会の制度も参考にしつつ、若者が政治参画しやすい仕組みをつくります。インターネットを活用して、政策づくり、選挙運動の各場面で一人でも多くの国民が政治に参加している実感の持てる環境をつくります。また、ネット投票を可能にします。男女の候補者数をできる限り均等にするという目標の下、党として、女性候補者比率35%目標を実現します。クオータ制の導入をめざします。

立候補から議会活動までを先輩議員などが伴走するメンター制度を導入するとともに、介護や育児の負担を軽減するため、ベビーシッター代支援などのメニューを自由に選べる「カフェテリア方式」を導入します。「子連れ選挙」に係る公選法137条の課題についても引き続き取り組みます。

障がい者や高齢者の権利行使としての投票機会確保のため、郵便投票の範囲拡大や投票所のバリアフリー化、点字・音声・手話等による情報提供や合理的配慮としてのチェックによる投票等についての制度改革に取り組みます。

(7)省庁再編

税と社会保険料の公正な徴収を進めるため、バーチャルな形式も含め「歳入庁」を創設します。統計不正問題の再発防止のため、「統計庁」を創設し、統計作成事務を一元化します。

憲法改正への取り組み

国民民主党は2020年12月に「憲法改正に向けた論点整理」を取りまとめました。

憲法が定める基本原理「人権尊重・国民主権・平和主義」をこれからも守り続けるために、引き続き、憲法の規範力を高めるための議論を進めます。

人権分野では、憲法制定時には予測できなかった時代の変化に対応するため、人権保障のアップデートが必要です。特にAIとインターネット技術の融合が進む今、国際社会では個人のスコアリングと差別の問題や、国民の投票行動に不当な影響を与えるネット広告の問題などが指摘されています。デジタル時代においても個人の自律的な意思決定を保障し、民主主義の基礎を守っていくため、データ基本権を憲法に位置付けるなど議論を深めます。同性婚の保障や子どもの権利保障などについても検討を進めます。

統治分野は語数が少なく規律密度が低いため、時の権力による恣意的な解釈・運用を許しやすいという問題があります。だからこそ、国民が求める大切なルールについては明文化し、憲法違反については裁判所による積極的な判断を可能にする仕組みを検討していきます。具体的には、首相の解散権の制限、臨時国会の召集期限の明文化、憲法裁判所の設置などの工夫が考えられます。

コロナ禍やロシアによるウクライナ侵略で顕在化した憲法上の課題を解決する観点から、緊急時における行政府の権限を統制するための緊急事態条項を創設し、いかなる場合であっても、立法府の機能を維持できるようにします。とりわけ、任期満了時に、①外国からの武力攻撃、②内乱・テロ、③大規模災害、④感染症の大規模まん延の緊急事態が発生し、選挙ができなくなった場合に、議員任期の特例延長を認める規定を創設します。

なお、憲法9条については、これまで9条が果たしてきた役割にも配意しつつ、①自衛権の行使の範囲、②自衛隊の保持・統制に関するルール、③戦力不保持・交戦権の否認を規定した憲法9条2項との関係の3つの論点から具体的な議論を進めます。

私たちはこれからも、護憲と改憲の二元論に停滞することなく、支援者に限らず幅広い国民との憲法対話を続け、国会で建設的な憲法論議を進めていきます。

1 皇位継承について

天皇陛下の退位を実現する特例法(平成29年)の成立にあたっては、「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方のご年齢からしても先延ばしすることはできない重要な問題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方のご事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を速やかに国会に報告すること」との附帯決議が付されました。

ここに表された重要な課題認識は、党派を超えた国会全体による重い意思表明です。皇室制度の根幹をなす皇位継承の問題を、「主権の存する日本国民の総意に基づく」(憲法1条)かたちで解決へと導くために、公党としての責任をもって検討を進めていきます。

なお、政府の皇位継承に関する有識者会議が令和3年12月にまとめた報告書における①女性皇族が婚姻後も皇室に残る、②旧宮家の男系男子が養子縁組などで皇籍復帰するという2案とともに、③皇統に属する男系男子を法律により直接皇族とする案も採用し、皇族数の確保及び皇位継承者の確保を進めるべきです。

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